奇数割りを練習する理由

最初はフレーズの引き出しを増やすためだった

僕は自分で「ドラマーとしてのフレーズセンスが圧倒的に欠けている」
と自覚していた。

学生のころ「ジャズ研究会」というサークルにいた。
ジャズを演奏していると「4バース」という、
4小節ごとにドラムがソロを演奏するという場面がよくある。

思い通りに叩けないだけではなく、
叩いたフレーズがカッコ悪いのがどうにもきつかった。

自分から絞り出せるフレーズはタカが知れている。

ではコピーするしかない。
多くのドラマーがそうするように、僕もコピーを始めた。

マックスローチ、フィリージョー、ブレイキー、エルヴィン…。
あまり名が知られていなくてもかっこいいと思うプレイはメモして練習した。

ジャズ以外でのソロでかっこいいと思ったのは
ガリバルディ。

あまりソロを叩く印象のない人だが、
この人もソロを叩く。

ロングソロを譜面に起こすと、
7つ割りや9つ割りなどが多いことに気づいた。
こういったフレーズは拍をまたぎやすいので、繰り返し演奏しても
カッコよく聴こえた。

拍をまたぐフレーズは学生の頃も何かを参考に(何か、は忘れた)
少しは練習していた。

短いフィルではなく、2小節のフィル、4小節のソロなどには
奇数割りを繰り返すことで結構それっぽくカッコよくなることに気づいた。

ガリバルディのソロをコピーした後、
そのコンセプトを借りて、自分なりに2小節のフレーズを作るようになった。
最初は自分のために。のちに、レッスンのために。


奇数割りから見えてきたもの

奇数割りは難しい。
なぜなら先ほど書いたように、「拍をまたぐ」からだ。

ではなぜ「拍をまたぐ」と難しいのか。

それは拍のアタマを見失いやすいからだ。

拍のアタマを見失うと、当然カウントができない、
1小節を見失う、周りの演奏が聴こえない…。

では奇数割が「できる」状態とは。
「拍をまたいで」も拍を見失わず、フレーズ全体をイメージしながら、
カウントもでき、余裕をもって他の人の演奏も聴いていられる。

こういった状態である。

当然これはもっとシンプルなフレーズをやっていたとしても
必要な状態だ。
簡単なパターンをやっているとき、
拍を見失わず、パターン全体をイメージでき、カウントも可能で、
他の人の演奏も余裕を持って聴いていられる。
これは当然必要なことだ。

奇数割りをやり始めると、最初はこういったことが頭からふっとぶ。
負荷がかかりすぎて、カウントどころではない。
周りを聞くどころではない。

しかし、この負荷を負荷と感じないで
余裕をもって演奏できるようになると、
自分のなかの四分音符というものがより強固になった感覚になる。

これはエイトビートしか知らない頃とはかなり違う。

負荷を与えて、かつ、フレーズが叩けるだけで満足せず、
カウント感覚があり、他の人の演奏を聴ける、そして
それに合わせられる感覚が養われるまで練習する。

結果、自分の四分音符が強くなる。

それこそがこの練習の最大の効果だ。



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