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【身体のこと】今後について

ご存知の方もいらっしゃると思うのですが、自分は4年前に肥厚型の心筋症の手術をしました。

その際、不整脈の治療のためにICD(除細動器)を体に埋め込みました。

ペースメーカーとICDは厳密に言うとちがうものなのですが、ものすごい簡単に言うと致死性の不整脈が起きたり、心臓が早く動きすぎて止まったりした時に電気ショック(映画とかでよく見るアレ)を与えるものです。

それまで致死性の不整脈の発作は起きたことなかったのですが、なんかあった時のための保険に入れますと心臓の手術の10日後ぐらいに言われまして。

手術後にまた手術するなんて嫌だ!とめちゃめちゃごねましたが結局受け入れました。

先週の11月3日金曜日の演奏中にそのICDが発動してしまいました。

意識はハッキリとしていて、気持ち悪さもなく、ただ身体を引き裂かれたかと思うその衝撃にびっくりしました(周りはもっと驚いたと思います)

ICDが発動すると電気ショックで身体が硬直して目の前が真っ白になるんです。

ジャンベを担いでソロをしていたのですが曲の後半だったのでなんとか曲を終わらせなきゃと思い、ドラムセットに戻ろうとしましたがその途中でも発動しました。

で、ドラムになんとか戻って最後のフレーズを叩こうとしたらまた発動しました。

こりゃいかんとステージから下りてメンバーに「救急車呼んでくれぇ〜」と頼みました。

この時も意識はありましたが、動くとバツン!とICDに打たれるのでマジに「死んでしまう」と思いました。

後でわかったのですが5回発動したようです。

救急車が来るまでかかりつけの病院に指示をあおぐために電話をしたり、車にICDの手帳や保険証があることを一応冷静に伝えました。

救急車で運ばれてる時「これで死ぬのか」「最後まで演奏できなくて申し訳ない」「見てる人の嫌な思い出になったらどうしよう」「あ、今日の楽器どうやって片付けるんだ」「明日と明後日の仕事行けないかも」「部屋片付けてくりゃよかった」とか色んな思いが押し寄せました。

ちなみに人生で初の救急車でした。

病院に着いて、心電図、心エコー、血液検査、ICDのデータ解析をしてもらいました。

脈は通常より早かったものの、意識はハッキリとしていて「ミュージシャンなんですか?」「もしかしてラテン系?」と救急の先生や看護士さんなんかが普通に話しかけてくるので「それどこじゃねー」と思いつつも答えていました。

今考えると和ませてくれようとしてたのかもしれません。

2時間ぐらい経つと心電図や脈拍も正常に戻りはじめました。

循環器の先生方がカンファレンス(会議)してくれています。

一番偉いと思わしき先生が説明してくれます。

とんねるずの石橋貴明さんに似ておられました。

その石橋先生が言います。

「ICDの誤作動の可能性が高いです」

「え、間違って動いたってことですか?」

「今のところその可能性が高いです」

「ど、どうすればいいんですか?」

「このまま帰宅ということで」

誤作動って・・・マジかぁ。

あんな衝撃を誤作動で打たれるなんてたまったもんじゃない。

流石に運転はしないほうがいいということでマネージャーさんにお願いして車を運転してもらい帰宅しました。

楽器はメンバーが片付けてくれてました。

感謝。

ほんとに周りの方にご迷惑をかけてばかりです。

帰宅後、かかりつけ医に連絡してすぐに診てもらいました。

詳しく調べてもらいましたがやはり誤作動という見解になりました。

誤作動ではなく不適切作動、というみたいですが。

けっこうあるみたいです、誤作動。
体験談をメンバーが探してくれました。
「誤作動の原因は筋トレでした」

不適切だろうがその衝撃はほんとに死を覚悟するぐらい強くて、それが5回も打たれたわけで。

突然死の予防のための機械のはずが、それで死んだら元も子もないっていうか。

普通は致死性の不整脈だと意識がなくなってから打たれるはずなので、意識がある状態で打たれてほんと厳しかったです。

舞台で倒れなくてよかったです。

自分は通常一分間に70回前後の脈拍です。

激しい運動して130ぐらい。

で、脈絡が190以上になると ICDが発動するように設定されていました。

190というとかなりの回数です。

余談も余談ですが、鬼滅の刃でパワーアップの証と言える痣が発現する条件は心拍数200以上で体温が39度以上になると発現するらしい。

痣、発現してるだろうか。

さすがにそんな回数になるまで身体を動かしていたわけではないと思うのです。

ですが、楽器を担いでいて激しくは叩いていたのでその衝撃や筋肉の動作に反応したのではないかということでした。

「一分間に190回以上叩くことありますか?」と聞かれて16分音符とか6連符だったら普通にありえるな、と思いましたけど。

じゃあもう演奏できないじゃん、と。

対処として190で反応するところを200に引き上げてもらいました。

え、10だけ?と思いましたが機械が反応する脈拍の設定を上げすぎると着けてる意味ないからと言われて「まぁ確かに」と思いました。

それぐらいしか対処の仕様がないと。

次の日はドンファンの45周年記念ライブ、その後夜走りで静岡に行って変面師の王さんとのイベント。

車の運転と普通に演奏してもいいか?としつこいぐらい聞いたんですけど。

今までやってたんだから大丈夫だろう、とのこと。

演奏しててまたあんな衝撃を受けると思うと怖すぎる。

3日に一緒に演奏していたメンバーや関係者の方にはほんとに迷惑をかけてしまいました。

しのぶバンドでも脈拍はかりつつドキドキしながら演奏しました。

そのドキドキも心臓に良くないんじゃないかと思いつつも。

でもなんていうか。

一歩引いて演奏できた感じがしてそれはそれで悪くないな、と。 

王さんとのイベントも無事に終わり東京に帰ってきてこれを書いています。

長々と書いてしまいましたが、ご心配なくと言うとウソつけって感じなんですけども。

その後身体の不調もなく様子を見ながらですが演奏は続けられています。

車の運転も制限はなく、静岡の行き来もできました。

なのでリスクは抱えつつになりますが、できる限り演奏の方は続けていきたいと考えています。

身体のことですし、皆様にお伝えするべきか否か迷いましたが自分としては気をつけながらなるべくこのまま生活できたらと思っています。

ご迷惑をおかけすることになるかもしれませんが今後ともよろしくお願いします。

2023年 11月7日
見谷聡一

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